◆あなたのお灸のイメージ、間違ってます
お灸を怖がる患者さんは非常に多いです。お金を払って熱い思いをするなんて 信じられない、って声も聞こえてきます。
皆さんの持っているお灸のイメージは、おじいちゃん・おばあちゃんがウンウンうなりながらお灸をすえて貰っているところでしょう。
なので、イメージするお灸の大きさはこんな感じ。
そしてそれに火を付けると、モクモクと煙が上がって熱いのなんの、
身体が燃えて行く!!
って感じでしょうね。こんなのやってたら熱いの当たり前だわ!
私ならこのお灸を見た時点で走って逃げ帰るか全力で抵抗します。
時代劇では時々こんなお灸が出てきます。そしてやられている人は皆さんウンウン唸ってます。
テレビを見ているだけで熱さが伝わってきますよね。これは時代背景もやり方の違いもあります。
時代劇で見るお灸に関して少し説明すると
①お灸と体の間に5mm程度にスライスしたニンニクやショウガなどが間に挟んであり、それぞれの薬効成分と合わせてお灸を行う隔物灸と言う方法がある。お灸の間に障害物があるのでお灸の熱さを感じにくい。
②打膿灸(だのうきゅう)と言ってわざと火傷を起こさせ膿を出すやり方がある。火傷を起こさせるので、多少大きなお灸を使います(こんなに大きくは無いけどね)現在は打膿灸を行う鍼灸院は全国的にも稀です。
③江戸時代のお灸は小豆大の大きさがあったようです。現在のお灸は米粒程度か、米粒の半分程度の大きさが一般的です。
現代の鍼灸院において時代劇で見るような大きさのお灸をする所は全国的にも非常に稀です。
今でも打膿灸(火傷をさせてわざと膿(うみ)を出させるお灸方法)を行う鍼灸院があるようですが、全国で見ても稀でしょうし、こんな大きさのお灸はしないハズです。
◆本当のお灸はこちら
では実際の大きさ。小さくて分かりにくいですね。ゴメンなさい。
実際にはこんな大きさです(ツボの位置などは一切考慮してません。とりあえず置いただけ)
耳かきと比べてみました。それでも分かりにくい。比べるものが手元にありませんでした。米粒よりももっと小さいお灸です。
イメージしたお灸と実際のお灸の対比。皆さんの脳内お灸と実際のお灸の大きさの違いです。
この小さなお灸に線香で火を付けます。火がついているのは5秒前後。
火が付きました。
こんな小さなお灸でも、最後まで焼き切ってしまうと熱い事があるので、実際には8分目くらいでお灸の火は消してしまいます。
時間にして5秒くらいかな。
なので、熱さはほぼゼロ。
全くゼロでは無いのは、場所によっては熱さを感じて貰わないといけない場所もあるから。
その場合には、少し熱くなる旨を事前にご連絡し、ちょっとだけ我慢して貰います。
お灸の質によっても熱さの感じ方は違います。下の写真、同じ艾(もぐさ)ですが、質が違います。
よく見ると色が違うのが分かるかと思います。左側が上質のお灸、右側が下級もぐさ。
上質のお灸は石臼で何度も引いて不純物を取り除いてあります。
原料であるヨモギからほんの2~3%としか取れない貴重品です。上質の艾はピリッと熱さを感じることがありますが、一瞬で終わります。
下級もぐさはジメッと長く続く熱さです。
用途が違うので当院では両方用意しています。当然、直接肌にお灸をする時には最上級のお灸を使います。下級艾は温灸などに用います。お灸の詳しい作り方はこちらのサイトをご覧ください小林老舗HP
どうでしょう、少しはイメージが変わったでしょうか。当院では逆子・冷え・不妊・更年期障害などでお灸をよく使います。お灸にも色々な種類があるので、それはまたご紹介して行きます。